ボディコンね~ちゃん
ある年の6月の暑い日、僕とオノちゃんはまたまた富山県の宇奈月温泉にやってきた、オノちゃんも黒部川はかれこれ3~4回目と言ったところ、来れば岩魚も数匹は釣れるのでもう岩魚を気持ち悪がって川に捨てることもなくなった。
そして今回は、宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗って、カーショップIの社長に教わった黒部川支流の黒薙川へ行く計画を立てていた、源流釣とは行かないまでも僕らもやっと渓流釣師の仲間入りが出来るのか、と言った気持ちでワクワクドキドキと言った感じだった。
釣をする人はご存知かと思うが、釣りは早朝と夕まずめが一番のゴールデンタイム、白々と夜が明け始める5時ごろから釣りを開始したいところではあるが、トロッコ電車の始発は7時30分頃、でそれまでの時間がもったいないので始発までの間僕とオノちゃんはいつものごとく宇奈月温泉辺りの黒部川で釣をして、それから始発のトロッコ電車で黒薙川へ行く計画を立てていた。
「それじゃ~!オノちゃん、7時頃までこの辺でやりますか!」とそれぞれ準備をしていざ釣り開始、6月の黒部川は丁度雪解け水が流れ込み白濁りでいつもより増水気味、水温もまだまだ低くかなりの冷たさ。
渓流と言っても黒部川の本流、川幅は50メートルはゆうに有り、5メートルも離れれば水の流れる轟音で会話も聞き取れないほどであり、こんな川に落ちでもしたら・・・大変なことになる。
オノちゃんは僕よりも4~50メートル下流のテトラポットの辺りで一生懸命に竿を振っている、お互い負けてはなるものか、トロッコ電車に乗る前に2~3匹釣ってやろうと一生懸命。
僕はたまに振り返りオノちゃんをたまに見ながら釣っていた。そして2~30分時間が過ぎたころ、「うを~!」と言う声が聞こえたような気がしたので後ろを振り返ると、さっきまで釣っていたオノちゃんの姿が無かった。
僕は「あれ!小野ちゃんどこ行ったんだろう、まさか川には落ちるなんて事はないよな!」と思つつ良~く目を凝らして見るとテトラポットの間から人の手らしき物が見えてバシャバシャやっている。
「い、い、いか~ん!オノちゃん川に落ちてる!!!」竿を放り投げて助けに走った、テトラとテトラの間に落ちているオノちゃんは完全に頭まで水没、手の先だけが水面に出ている状態。
「いやー助かりました、落ちた時は勢いで頭まで完全に水没しましたからなんだか岩魚になった気分でしたよ~へへへ!!」 ・・・恐るべし オノちゃん・・・!!
それから僕とオノちゃんは予定どおり始発のトロッコ電車に乗って上流の黒薙川を目指した、ずぶ濡れのオノちゃんはズボンの着替えを持ってきていなかったので、僕のカッパのズボンを貸してあげた。
最初の内は良かったが、その日は6月といえども昼過ぎには真夏日のような暑さになった、カッパズボンは風通しが悪く蒸れて蒸れてオノちゃんは大変な状態になってしまった。
それでも初めのうちは手でゴムのところをカパカパやりながら釣っていたが、そのうち我慢しきれず遂にカッパズボンを脱いでしまい、下半身むき出しの格好悪い白いブリーフ姿で釣りをはじめた。
「お、お、オノちゃん・・・!ス、ス、すごい格好だぜ!」
「大丈夫っすよ!! こんな山奥にボディコンのねーちゃんなんか来ませんからね、ハハハ・・・・・!」
・・・・お、お、お恐るべし オノちゃん!!!