オノちゃん 捨てちゃ~ダメ!!
渓流釣りはご存知の通り一般的に対象となる魚は山女と岩魚である。つまり幻の魚と呼ばれるだけあってなかなか釣れない。関東住まいの僕とオノちゃんは山梨や長野でも釣りをするけれど、田舎へ行けばいくほど釣れると言うこともあってこの15年ほど前から富山県の黒部川まで年に1~2回釣りに行く。 僕が黒部川まで行くようになったのは、甲府支店時代の取引先のカーショップIの社長が渓流釣り好きで黒部川へ連れて行ってもらったのが始まりだった。 富山県の黒部川と聞けば物凄く険しい源流を連想する人もいるだろうが僕らは渓流釣りの初心者、最初のころは黒部川といっても富山県の宇奈月温泉辺りの黒部川での釣りなので時には観光客と一緒に釣をしていたこともあるほどの安全な釣。地元の漁協では積極的に放流も行われているため素人の僕とオノちゃんでもまあまあ岩魚が釣れちゃったりした。
オノちゃんと始めて黒部川へいったのは僕がIの社長に2~3回連れて行ってもらってからのこと、オノちゃんは山梨県内の川でチビヤマメを釣ったことはあったけど岩魚を釣ったことは一度もなかった。渓流釣はある意味孤独な釣、二人で行っても二人並んで釣をすることはない、めいめいが離れ離れになって釣をする。「オノちゃん!この辺りは3月に漁協が岩魚を放流しているから釣れるはずだよ、がんばってね~」 という言葉お後にして、お互いにそれぞれ釣れそうなポイントを目指して釣を開始した。 僕の方は順調な滑り出し、2時間ほどで22~23cmの岩魚を3匹ほど魚篭に納めた。オノちゃんのほうはどうかなー!と少し心配になり遠くに見えるオノオちゃんの所まで戻って「オノちゃん、どお!釣れた?」と聞いてみた。
するとオノちゃんは「全然駄目ですよ。まだ1匹も釣れませんよ。でもさっき、斑模様で口がでかくてギザギザの歯が一杯の30cm位の奴が釣れたんですけど、何だか気持ち悪いからまた川に捨てちゃいました・・・・・・ハハハハ!」
「・・・・・、オノちゃん、そ、そ、それが岩魚だよ!30センチもあったんだ、尺物って言ってそんな大きいのはめったに釣れないよ・・・!!」・・オノちゃん!恐るべし ・・・!!