死ぬほど腹が減ってるのに!勘弁してよ!!
ついにオンちゃんと僕は黒部川の山中でテントを張り1泊でイワナを狙うことになった。
この決断をするまでにはかなりの時間を要した、一人でいると昼間でも怖くなる時がある山中で夜を明かす、街灯も無く真っ暗な山中のテントの中で寝る・・・考えただけでも恐ろしいけれど、釣りにとってのゴールデンタイムである朝晩に釣りが出来るのだから少しぐらい恐ろしくても我慢をしなくてはならない。
「オノちゃん!今度テントを担いで黒部の山中1泊で釣りに行ってみないか?」
「山中泊ですか!怖くないですか!熊とか出ませんかね!」
「一晩中焚火をしていれば大丈夫だよ、朝晩のゴールデンタイムにやればデカいイワナが入れ食いらしいよ~!」
「本当ですか!!行きましょう、熊なんかへっちゃらですよね!!」
てな訳で、一月程前からあれこれ計画を立て、僕がテントやシュラフ関連の係り、オノちゃんは食糧、ガスバーナー関連の係りと言うことで準備万端、40ℓ程の大型リュックを担ぎ8月のある日我々は黒部川を目指した。
宇奈月温泉から昼過ぎのトロッコ電車の乗り黒薙温泉で下車、山道を約2時間ほど歩きヘトヘトになりながら本日のテン場に到着、まずはテントを張り一晩中焚火を絶やさないだけの撒きにする流木を集め、釣りから帰って来たらすぐにご飯が食べれるようすべて準備完了。
「さて、オノちゃん!行きますか~!イワナ達が我々をまっていますよ~!!」
「行きましょう、行きましょう!釣りまくりましょう!」
と、出発、テン場から二股の堰堤までまた2時間程歩いてまたまたグロッキ~寸前になりましたがそこから川を下りながらテン場を目指して釣り開始。
ところどころで良型のイワナを釣り上げ次第に重みを増してゆく魚籠の重さに二人ともニンマリしながら少しずつ釣り下ってゆくのですが、渓流釣りと言うのは河原の岩を乗り越え飛び降りながらの釣りで意外と体力を消耗する。
昼におにぎりを二つ食べたきりで、その後なにも食べず、しかも食糧はテン場にすべて置いて何も持たずに来てしまった。
次第に腹が減り、歩いても歩いてもテン場には着かず、ついには生き倒れと言うのはこんな感じになるのかな~と言うほど腹が減り、川の水を飲みながらヘトヘトになり、何とかテン場に到着。
や~、あと少しテン場が遠ければヤバかったかもと、まずは飯盒でコメを!
「食糧係りのオノちゃん~ガスバーナー宜しく!」
「了解です!少し待ってください、いまガスボンベをバーナーにセットしますから!」
「・・・・・・、!!!!!!、」
「オノちゃん・・まだかな~!早くしないと腹へって死にそうなんだけど!」
「××××****、・・・・」
「何やってんだよ!!オノちゃん、早くしろよ!」
「す、す、すみません、ガスバーナーとボンベ、違うメーカーのを持ってきちゃいました・・・!だからバーナーは使えません。ハハハハ!!」
「か、か、かんべんしてくれよ、こんな山奥でどおするんだよ~」
お、お、オノちゃん、恐ろしすぎる・・・!!
で、仕方ないので焚火の中に飯盒を、次第に火の勢いが強く・・・・!!
「オノちゃん、こんなに火が強くなっても大丈夫かい!」
「大丈夫ですよ、私はボーイスカウトに入っていましたから任せてください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・でもいくらなんでもそろそろいいんじゃない!」
「じゃ、そろそろ出しますか・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「オノちゃん、どうしたんだよ!なにまた後向いてんだよ、早く飯を食べようぜ・・!」
「す、す、すみません・・・・お米がすべて炭になってしまいました!!!」
「ウ、ウ、嘘だろ!どおするんだよ~!」
お、お、恐るべし小野ちゃん・・・!!!!!