ら、ら、落石だ~!!

ら、ら、落石だ~!!

オノちゃんと僕は黒部川へも何回も行き、トロッコ電車に乗ってそしてテントで泊まることも何回も経験し、チョットした本格的なアウトドアーマンになっていた。
ただし、何度行っても山の真っ暗闇の中のテントで泊まるのは勇気のいることで、特に天気が悪く雨など降っていようものなら雨をしのぐ場所も無いため雨の降り注ぐテントの中でじっとして居るしかなく、なかなか大変な思いも結構した。
なので、山中テント泊の予定で行っても、雨が降っていたり降りそうだと日帰りに予定変更をしたりしていたが、反面天気が良く真夏日の時などはアブの大発生がありこれがまた大変で体中が何百匹というアブの大群に覆われてしまうことも度々あったりして、どちらにしても黒部の山の中へ行くということは大変なことであることは間違いない訳です。

オノちゃんと僕はある年、梅雨が終わるか終らないかの7月に黒部川支流黒薙川を目指した。その日は朝から雨は降ったり止んだりだったが、いつも通り山中泊の予定で大型リュックでテントと食糧を担ぎ、トロッコ電車の乗り黒薙駅を目指した。

釣果の方はまあまあで今晩の炭火焼用のイワナも十分確保できたけど、雨は依然として降ったりやんだりで、午後3時を回り山中テントで泊まるか、下山をするかそろそろ決断をする時間に、

「オノちゃん!どうしようか~~?」
「迷いますね~!」
「今年はせっかくだから、根性だしてテント泊で行きますか~」
「・・・・・・・・」

と、少し強引に山中テント泊と言うことのなったのですが、テントを張れて雨がある程度しのげる場所がなかなか無く、雨は夕方から途切れることなく降り続き二人ともカッパを着ていましたが全身ずぶ濡れに。
結局テントを張った場所は切り立った崖の下で、もし落石でも起こったらチョットやばいな~と思いつつテントの中で夕食の缶詰やおにぎりを。
辺りが暗くなると気温も下がり、二人ともずぶ濡れになっていたので次第に寒さに体が震えるほどに。
寒くて寒くて寝ることも出来ず、なんとか24時を過ぎるころ二人ともウツラウツラと何時しか眠りに。

そして、ついに事件は起こりました、何時頃だったかいきなり僕の横に何かが「ダ~~~~ン!!」と落ちてきてオノちゃんが寝ているところのテント半分が押しつぶされてしまった!
ワ~~~!と外は真っ暗、何が起きたのか分からず僕もオロオロするばかり。
「ら、ら、落石だ!!やっちまった」
隣では「う~~~、う~~~」とうめき声は聞こえる。

「お、お、お、オノちゃ~ん大丈夫か~~~!」
「ウ~~~す、す、すいませ~ん!」
「すいません!って、大丈夫なの!どこにいるんだよ!」
「トイレで外に出て、立ちあがったとたんに目まいがしまして・・テントに倒れ込んじゃい
ました~~~~~!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!オノ!てめ~いい加減にしろよ!落石かと思ったろ!テント
も骨が折れて壊れちゃっ てるじゃないかよ~!!」

本当にお、お、恐ろしすぎる オノちゃん!!!!!」